« 何ちゅう雨ですか | トップページ | 百花/川村元気 »

2019年7月 5日 (金)

足りないんじゃなくてありすぎる

先日ここで、発売されたら買って読みたいと書いた「線は、僕を描く」ですが、発売から数日後ちゃんと買いました。
そして、今日読み終わりました。

なぜ発売前なのに読んでみたいと思ったのか。

 

実は、小説発売前に漫画になって連載が始まっていたのでした。(こういうことってあるのか?)

20190618141810

 

青山霜介は両親を交通事故で亡くして以来、生きる気力もなくただ生きている。
そんな霜介は、たまたま水墨画の会場作りのアルバイトをした際に、名画家・篠田湖山に見い出される。

霜介は素人ではあるが、その感性は研ぎ澄まされており、静止画である水墨画の中に風(空気の流れ)を感じたり、作者の姿を感じたり、技術以外の部分で天性の才能があるようなのだ。

 

一方、湖山の孫娘・千瑛は、すでに画家として技術は一流ながら、コンクールの大賞には一歩届かない。

必死の千瑛は、自分には何が足りないのかと悩み続ける。

Img001

 

それに対しての霜介の「足りないんじゃなくてありすぎるんじゃないでしょうか」

Img002

驚くと同時に何かに気付く千瑛。

 

うーん。何だかこの台詞、「足りないんじゃなくてありすぎる」、心に刺さりますね。

頑張っても頑張っても何かが上手く行かない。
こんなに頑張っているのに・・・。

そういう経験って誰もが感じることあるのではないでしょうか。

 

頑張り過ぎってこと、、、ありますよね。

 

会場作りのアルバイトを機に水墨画に取り組み、廃人のようだった霜介は少しずつ自分を取り戻して行く。

たまたま霜介の才能を見つけた篠田湖山ですが、まさか会場作りをする様子だけで才能に気付くはずは無い。

では、湖山はなぜ霜介に声を掛けたのか。

Img003

 

それは、生きる意味を持たず、殻に閉じこもっている霜介に、かつての自分を見たからだった。

戦後の焼け野原で、生きる目的を失い、今の霜介のようにただ生きていた湖山は、水墨画に出遭い生きる価値を見つけた。
自分は水墨画に救われたのだと。

そして霜介を現状から救い出したくて声を掛けたのだと。

水墨画は物や風景を描くのではなく、生を描くのだ。そこにあるのは自分の命そのものなのだ。

 

絵を描くことで、そこに自分というものが出来上がって行く。

 

なるほど、だからタイトルは「僕は、線を描く」ではなく「線は、僕を描く」なのかと納得。

 

湖山先生との出会いで、霜介は生きる意味を見つける。

千瑛もまた霜介との出会いで、自分に足りないものを見つける。

人と人との出会いとは、自分と違う価値観との出会いなのだ。
違う価値観と出会い、人は成長するのだ。

 

こういう登場人物全員が善人なストーリーもたまには良いものですね。ミステリーばかり読んでいると、犯人探しとか裏読みとか正面から物事を見なくなったりして。(;^_^A

物事に素直に向き合う。簡単なことです。

Ran

次は何を読もうかな・・・。

iine

« 何ちゅう雨ですか | トップページ | 百花/川村元気 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

こんばんは(*^^*)

これ面白そうですね~
小説でも漫画でも読んでみたいですね~^^

弥沙さん、おはようございます。

面白かったですよー。
ちょっと紹介したくて、漫画のページをわざわざスキャンしちゃいました。
ちなみに漫画は少年マガジンです。まだ始まったばかりなのでコミックにはなっていません。
小説の方は、メフィスト賞受賞(しかも満場一致で)だそうです。
ぜひ読んでみて下さい。(*'▽')

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 何ちゅう雨ですか | トップページ | 百花/川村元気 »

フォト
2021年4月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ